ヒーリングの目的② ~つらい気持ちを癒す方法~

ヒーリングの目的 ~切り捨てた自分の一部を取り戻す~

このコラムでは、主に潜在意識に働きかけて心と魂の癒しを促すヒーリングについてお伝えしています。

今この文章を読んでくださっているあなたは、きっとヒーリングや癒しの分野に関心をお持ちだと思います。

良いヒーリングセッションを探されているのかもしれませんね。

またすでに何かヒーリングの技術を学ばれているでしょうか。

私は癒しについて考えるとき、いつも思い出す印象深いエピソードがあります。

十数年前、「ゲシュタルト療法」という心理療法のワークショップに参加していたときのことです。

ゲシュタルト療法は心とからだの全体性を大切にする心理療法の一つ。

そのワークショップで海外の著名な先生が、ご自身の子ども時代の体験をお話してくれたときのことです。

「癒し」の本質についてとても示唆に富んでいて、私がヒーラーとして活動するうえで大きな影響を与えていただいたお話です。

あなたにも、その豊かさをシェアさせていただこうと思います。

感じきることで解放する

先生はこんなお話をしてくれました。

「私が子どものころ、学校でひどくつらい出来事を体験したことがありました。

とてもショックで、泣きたい気持ちをなんとかギリギリで持ちこたえながら家に帰ると、おばあちゃんが出迎えてくれました。

そして私が今にも泣き出しそうな顔をしていることに気づいて、優しく抱きしめてくれたのです。

私はおばあちゃんの胸の中でずいぶんと長い間泣きました。

するとそこに、出かけていた父が外から帰ってきて、泣いている私を見るなり

「そんなに泣くなんて情けない奴だ。あんまり泣きすぎると心が壊れてしまうぞ」

と言ったのです。

そのとき、おばあちゃんは父にこう言ってくれました。

「ちがうよ。その反対だ。この子は今バラバラに砕けてしまいそうな心を、泣きながら取り戻しているんだよ」

私の祖母はとても聡明な人でした。

私はこのとき、祖母のおかげで悲しみをしっかりと感じて、思う存分泣くことができました。

だから悲しみを感じている自分の一部を切り捨てることなく、心がバラバラにならずにすんだのです。

先生がこのお話をしてくださったとき、ワークショップを受けていた参加者が何人も泣いていました。

私も思わず涙が溢れました。

誰もがひどく傷ついた経験があり、その悲しみの感情を受け容れがたくて、それを感じている自分の一部を切り捨てたことがあるはずです。

だからこそ、このお話で多くの人が深く心を動かされたのだと思います。

傷ついたとき、悲しいとき、その感情を感じながら誰かに話したり泣いたりする。

そんなふうに動揺している気持ちを解放することができれば、未来にその悲しみを持ち越さずにすみます。

しかし多くの人は

「泣いてはいけない」
「これくらいどうってことない」
「泣くことは弱いことだ」

といった思い込みや価値観によって、自分のからだに起きている自然な反応を体験することを避け、抑え込んでしまいます。

こうして自分の真実を切り捨て、その場に置き去りにして、悲しみの感情エネルギーを心とからだの奥深く(潜在意識の領域)に溜めていってしまうのです。

からだを通して体験し表現することなく内側に溜めこんだ悲しみは、意識していなくても心の中に欝々としたムードを漂わせるようになります。

特に何かイヤなことが起きているわけでもないのに、なぜかいつも気分が暗くなりがちな人は、こうした古い感情が原因の場合があります。

また溜め込んだ感情に触れてしまいそうな出来事は、たとえそれが幸せにつながることであったとしても避けるようになります。

たとえば幼いころ、親に甘えようとしたときにたびたび拒否されたと感じることが続くと、大人になってからもそのときの悲しみを思い出さないように、人に甘えること自体を避けるようになるのです。

さらに、感情を溜めすぎたからだはとても疲れやすく、いつもエネルギー切れしているような感覚を感じるようになります。

ですから、もしあなたが悲しみや怒り、淋しさなどを感じたときには、ぜひそれをしっかりと感じてあげてください。

もちろん、つらい気持ちを感じることには抵抗があると思います。

ですからほんの少しずつでいいのです。

少なくとも感じている気持ちを無視せずに、認めてあげることが大切です。

そして何を感じていたとしても、その自分に優しくしてあげてくださいね。

感覚や感情はちゃんと感じれば、短い時間で終わるものです。

しかし抑圧して溜め込んでしまうと、何年も何十年もその影響を持ち続けることになります。

一度生まれた感覚・感情はしっかりと受けとめて感じれば、その自分を切り捨てず、置き去りにせずにすみます。

それがあらゆる自分を愛し、統合して生きるという在り方なのだと思います。

過去の悲しみのエネルギーが、今目の前にあるあらゆる可能性を曇らせることがないように。

できるかぎり一つ一つの体験をその場その時に体験しきって、ちゃんと終わらせられるように。

それができると、今ここは過去の延長でも再演でもなく、真新しい生命の一瞬、真新しい可能性そのものであることに気づきます。

過去の投影で未来を狭めることなく、軽やかな心とからだで今ここを生きられるようになります。

そしてこのプロセスをサポートするのが、ヒーリングの重要な目的の一つなのです。