「やめられない行動」にも理由がある

「痩せたいと思ってダイエットしているのに、どうしても夜中に食べ過ぎてしまうんです」
「本当はイヤなのに、どうしてこんな行動をくり返しちゃうんだろう」
カウンセリングをしていると、こうした言葉をよくお聞きします。
そのたびに私は、
「その行動にも、きっともっともな理由があると思いますよ」
とお伝えしています。
自分の行動だから、自分で変えられるはず。
そう思ってもなかなか変えられない時、人は自分を強く責めてしまいがちです。
でも、もしその行動が、あなたを守るための潜在意識の働きだとしたら…。
きっとその見え方は変わってくるはずです。
今回は、潜在意識が「やめられない行動」を続けている理由についてお話しします。
潜在意識が最優先していること
ダイエットしてキレイにやせて、もっと素敵な服が似合うようになりたい。
そうすればきっともっと自信がもてて、自分を好きになれる。
そう考えて無理なダイエットに励む女性は大勢います。
かくいう私も、昔はムチャなダイエットをしたことがあります。
食事を抜いたり長時間運動したりといった激しいやり方をすると、一時的にはやせることができます。
しかし、その後気を抜くと、必ず体重も体形も元に戻ってしまいました。
時にはリバウンドが大きくて、ダイエットする前以上に太ってしまったこともあります。
当時の私は、身体がもともと持っている健康や安定のバランスを崩すほど、自分の身体に強い負荷をかけていたのです。
私たちの心と身体は、そもそも何もしなくても、安定した健康的なバランスを保っています。
これは心身の働きを自動的に調整してくれている、潜在意識がもつ生命を維持するしくみです。
潜在意識は「意識」と呼ばれてはいますが、意志の働きである「顕在意識」以外のすべてを含んでいます。
つまり身体の機能を司っているのは潜在意識だと言えるのです。
潜在意識の第一の目的は、「あなたを安全に生かし続けること」。
ですから今ある安全な状態を保とうとします。
しかし、ときに私たちは、
もっとやせてキレイになりたい!
自分に自信をもって素敵な恋人を作りたい!
といった外側の理想に刺激された考え(意志)によって、無理なダイエットを始めたりします。
そして何もしなければもともとバランスがとれていた身体に、過剰な負荷を与えてしまうことがあるのです。
すると潜在意識は危険を感じます。
ダイエットが過激になるほど、こんなふうに反応するようになります。
「この意志の命令に従い続けていると、命が危ない!」
こうなると、潜在意識は自然で安全なバランスを回復するために、「やせたい」という意志を抑えてでも食べはじめます。
潜在意識にとっては、「ダイエットに成功して美しくなって幸せになること」よりも、「死なないように生き続けること」の方が優先順位が高いからです。
これは身体だけではなく、心の働きでも同じです。
もし思い当たる「やめたいのにやめられない」思考や感情、行動があるとしたら。
あなたは今までに、ご自身の心に強い負荷を与えてきていませんか?
また何らかのショックやトラウマ的な体験をしたときに、心を癒し回復させてあげるようなケアをせずに過ごしてこられた可能性もあります。
自分の欲求や気持ちを無視したり、後回しにしたり、つらいことがあっても我慢を重ねてしまったり、といったことがあると、潜在意識はこう感じます。
「このままでいると、心が危ない!」
そしてどこかでその我慢や傷つきを発散し、心のバランスをとり戻すための場所を必要とするようになるのです。
あなたのために24時間365日働いている潜在意識は、あなたが体験した危機をしっかり覚えています。
そしてもう二度と同じ危険な目に遭わないように、あなたの意志に背いてでもあなたを守っているのです。

潜在意識はあなたの味方
もし今、「やめたいのにやめられない」思考や感情、行動があるなら、その自分を責める前に、一度立ち止まって考えてみてください。
「この思考や感情、行動は、私を何から守ろうとしているんだろう。」
そんな問いを、自分自身に向けてみるのです。
すると今まで「悪いクセ」だと思っていたものが、実はあなたを守るために頑張ってきた潜在意識の働きだったことに気づくかもしれません。
もちろん、その方法が今のあなたにとって最善とは限りません。
かつて身につけた、今はもう必要がない古い守り方である可能性もあるからです。
でも、潜在意識は決してあなたを困らせようとしているのではありません。
その時々のあなたにとって、一番よいと思う方法で心と身体を守ろうとしてきたのです。
だから必要なのは、潜在意識と戦うことではありません。
「もうそんなに頑張らなくても大丈夫だよ。」
「今はもっと安心できる方法があるよ。」
そんなふうに、新しい選択肢を潜在意識にも教えてあげることです。
潜在意識が安心すると、「やめたいのにやめられない」を起こしていた「危機への防御」は少しずつ役目を終えていきます。
そしてそれは、意志の力で無理に変えるよりも、ずっと自然で穏やかな変化なのです。