素直に謝れない本当の理由 〜人間関係を激変させる「心の扉」の開き方〜

woman and man sitting on brown wooden bench

なぜか素直になれない…その理由とは?

「本当は謝りたいのに、素直に謝れない。私が悪かったって分かってるんだけど……」

ヒーリングセッションの中で、ときどきそんなお話を聴くことがあります。

あなたはいかがですか?

たとえば、大切なパートナーと喧嘩をしてしまったとき。

「仲直りしたい」と思っているのに、どうしても「自分から謝るのはイヤだ」と感じることもありますよね。

「自分が悪いと思えば素直に謝るけど、でも悪いのは私だけじゃないと思うときは謝りたくない」

うんうん、その気持ち、分かる気がします。

ただ「どんなときも、たとえ私が悪くても、ゼッッッタイに謝りたくない!」という方も、中にはいるようです。

そうなると、関係修復のキッカケを自分から作るのが難しくなってしまうかもしれませんね。また相手からも同じような意固地な態度を引き出してしまうかもしれません。

こうした「謝らないぞ!」という態度は、おそらくは、あなたの性格が悪いからではありません・笑。

実は心の深い領域(潜在意識)の中にある「パート(心の一部)」が影響している可能性が高いのです。

「潜在意識のパート」を理解すると、無意識のうちに反応してしまう心のクセを変え、より納得感のある気持ちよいやりとりができるようになります。

深層心理にいる“登場人物”たち

心理学で「パート」とは、潜在意識の中のさまざまな役割や感情を持つ「心の一部分」のことを指します。

私たちの心の中には、たった一つの考えや感情だけが存在しているわけではありませんよね。

たとえば「本当は謝りたい」と思う自分がいる一方で、「謝ったら負けた気がする」と思う自分もいるかもしれません。

また「たとえ私が悪くても、愛してくれているなら相手が折れて謝ってくれるはず」と信じている、なんてこともあるかもしれませんね。

このように、ひとりの人間の中には複数の異なる考えや感情を持つ部分が存在します。そしてそれぞれが自分の意見を主張しているのです。

この、いわば「心の中の登場人物たち」がパートです。過去の経験や環境によって潜在意識の中に形成され、あなたを守ろうとする働きを持っています。

「プライドが邪魔して謝れない」の正体とは?

では、なぜ「謝りたいのに謝れない」のでしょうか?

それは、心の中に「謝ることに対して抵抗を持つパート」がいるからです。

たとえば子どもの頃に、悪くないのに謝るように言われた経験があったとします。

親や先生に叱られたとき、「言い訳しないで、とにかく謝りなさい!」と言われたことはありませんか?

頭ごなしに怒られて本当は納得できなくても、謝らなければその場がおさまらない。そして謝ったら謝ったで、自分が悪いことになって周りから非難されたり不利な状況になったりする。

そんな理不尽な経験をすると、心の中に「謝ることは負けることだ」と信じるパートが生まれることがあります。

そしてこのパートは大人になった今でも、「自分を守るため」にその考え(謝ることは負けること)を貫こうとするのです。そしてその結果、

「本当は謝りたい」気持ちを持つパート VS 「謝ったら負ける」という信念を持つパート

この2つのパートがぶつかり合い、葛藤が生まれるのです。

パートは潜在意識の中で働いているので、あなた自身の一部でありながら、その多くはあなたのコントロールの外にいます。そのため「頭では分かっちゃいるけど、でも(心は)謝りたくない!」という反応が生まれるのですね。

心のクセを変える第一歩とは

では、この葛藤をどうすれば解消できるのでしょうか?

大切なのは「なぜ自分は謝れないのか?」と自分を責めるのではなく、「私の心の中でどんなパートが働いているのか?」を理解することです。

たとえばこんなふうにしてみてください。

  1. 「謝りたくない」と感じている気持ちを丁寧に感じてみる。
  2. 「なぜそう感じるのかな?もし謝ったらどうなっちゃう気がするの?」と自分の心にやさしく聞いてみる
  3. 「だって、もし謝ったら〇〇になるから…」「もし素直な気持ちを言ったら〇〇だと思われるかも…」など、心の声と感じられる気持ちを味わう。
  4. 「謝らないことで、ずっと私を守ってくれていたんだね。ありがとう」と認めてあげる。

    ※このプロセスの途中で、過去のある記憶が思い出されることもあります。その場合は内側に生じる感情を少しずつ味わいながら、「今もあの時の気持ちが残っているんだね。ずっと頑張ってくれてありがとうね」など、ねぎらいの気持ちをあなた自身に伝えてあげてくださいね。

こんなふうに、あなたのために働いていることを理解してもらえると、パートは安心して態度をゆるめることができます。

パートは自分自身の一部なのに、その自分に声をかけるなんてヘンだと思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

でも実際にあなた自身のパート(心と身体で感じている感覚)に優しい言葉かけをしてみると、ときに涙するほど嬉しい気持ちになるのを確かに感じられますよ。(涙するのは他でもないあなた自身です)

この「自分との対話」を丁寧に行っていくと内側で感じる葛藤がやわらぎ、「謝りたくない」とかたくなに感じていた行動もゆっくり(人によっては劇的に!)変化していきます。

パートを知ると、人生はもっとラクになる

「謝りたいのに謝れない」と感じるとき、そこには「あなたを守るために働いているパート」が存在しています。

一見どんなに「言うことをきかない私の心の一部」だと感じられても、パートはつねにあなたのためにポジティブな目的をもって働いています。ただ過去の経験から学んだあなたを守るための方法が、今のあなたにはもうふさわしくない場合があるのです。

パートの声に耳を傾け、その存在を認めることができたら、あなたの行動は今よりもっと自由になり、コントロール可能なものへと変わります。

「素直に謝れない自分はダメだ」なんて思わなくて大丈夫。大切なのは、「今、自分の中でどんな声がしているのか?」を知ることです。

あなたの心にも、きっとさまざまなパートがいます。

もし今の自分に「なんでこうなんだろう?」と感じることがあれば、 心の奥にあるパートの声を聞いてみませんか?

心の働きを深く知ると、より自由で納得感のある人生を歩むことができるようになります。

このコラムを読んで、心のパートについてもっと知りたくなった方へ。
当サロンでは、あなたの内面とじっくり向き合い、心のパートを理解し、癒すお手伝いをしています。
「感じ方や行動の困ったパターンを変えたい」「もっと自分らしく生きたい」 そんな想いがある方は、ぜひ一度、ご相談ください。
あなたの心が、少しでも軽くなりますように。